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人間味のある人への手紙

Paracelsus, medicus
1493年-1541年

パラケルススは言った。 「我々は星々を眺めるが、それらの星だけで天空が創られているわけではない。」

現在の状況は星ほど美しくはないが、この考察には一理ある。我々を不安にさせる何かがあることはわかっているが、それだけが世の中全てを造ってはいない。世の中は、無限で永遠の調和を持ち、安定し均衡した状態に常に戻るものだ。

以前、人間性に関わるちょっとした困難を抱えているように見受けられた、素晴らしい中国人の友に、自分が彼の傍らにいることを伝えようと筆をしたためたことがある。今、美しい上海、また他の中国の幾つもの街で、再び人々は路上に戻りだした。 1ヶ月前に抱えていた恐怖はすでに後退し始め、人間としてのポジティブな感覚が勝り、不安は払いのけられ、これまで通りの生活が戻りつつある。

自然に生じる不安は、欺きからくる不安とは全く違うと私は信じる。前者の不安は人間的なもの、後者のそれは未知だ。世界中の科学者はウィルスを抑え込む措置を協働して見出し、権威ある科学者たちもそれに同調する旨を表明している。各国政府もそれぞれ明晰さと主権をもって、合意の下に対応している。不安に駆りたたれる必要などあろうか?現実以上に恐れている自らを司れる、一歩手前まで我々はおそらく来ている。「理性の眠りは怪物を生む」、これはゴヤが眠り込んだ男の上を怪鳥が飛び回る作品「ロス・カプリチョス(気まぐれ)」に与えたタイトルである。

そんなに前ではないが、2008年の深刻な経済危機がどのような結末を迎えるかは当時誰も想像できなかった。しかし、今の状況と当時の危機には共通点は全くない。なぜなら、一ヶ月前までは世界経済は順調だったし、当時の危機は構造的なのに対し、今日のそれは一時的だからだ。現状は我々を多少不安にさせるが、それは一時的なもの。短時間でこの不確実な状況から脱出し、新たな開かれた水平線目の前に現れ、手は携えられ笑みが戻るだろう。自然と平穏をもたらすあの均一的思考が取り戻され、我々を待ちうける光に満ちた未来に向けて、世界は調和に導かれるだろう。

Corriere della Sera - 2020年2月28日

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