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イタリアの職人技術と手仕事の価値
「私たちの精神が感情に満ちている時、私たちの仕事は魅力に満ちている。」ヴォーヴナルグ
「テクネ(Technè)」- この言葉は古代ギリシャで、職人の技巧と芸術という2つの意味を持つ単語として使用されていました。
このことから、もともと芸術と職人の技巧には深い関わりがあったという、たいへん興味深い事実がうかがえます。ルネサンス期まではまだ、そのような概念が根付いていました。当時、批評家や人文主義の文学者としても活躍した、かの芸術家ジョルジョ・ヴァサーリの作品に目を向ければ、おのずとそれが証明されます。芸術が職人の技巧や手仕事とは別物として捉えられるようなったのは、啓蒙思想の時代、18世紀に入ってからのことでした。
イギリスでは19世紀後半、ジョン・ラスキンの忠実な弟子であったウィリアム・モリスが手仕事の改革に尽力しました。彼は、芸術における真理は手仕事と同一であり、芸術的な美しさは幸福と自由の象徴であると信じていました。そして、ルネッサンスまでの手仕事は知的で創造的であったものの、工業的な手仕事においては、こうした性質を失う危険性があり、手仕事は人間にとって有用な友というよりも、誰もが投げ捨てたがる重荷となってしまう恐れがある、と考えていました。彼の発想とアーツ・アンド・クラフト運動は、人々を産業支配から解放することを目的に生まれたもので、芸術家を職人に、職人を芸術家に変える芸術的手仕事の改革につながりました。
今日、ブルネロ・クチネリは繊細な手仕事や職人の技巧に託された真の意味をつきつめ、そこから生まれる「美」を追求することで、独創性あふれるコレクションを展開しています。それらは、本来の人間味や人としての創造力をカタチとして表現したもので、私たちはそこに大きな価値を置いています。
イタリアの誇る職人の技巧や手仕事は、私たちの作品の美しさや、文化、アイデンティティの中で輝かしい存在感をアピールしてくれます。
工業的な発展と昔ながら職人の技巧を見事に融合した私たちの製品は、いつの時代も変わらぬ価値を保ち続けています。私たちの土地で創られた「モノ」だけでなく、原料を厳選することへのこだわりや、究極の品質と創造性を全バリューチェーンにおいて追求するモノづくりのあり方は、いまや世界中の人々を魅了しています。
最先端の技術はあくまでも道具のひとつとして捉え、決して目的達成のためには使用せず、手仕事と創造性を現代的で革新的なツールとうまく組み合わせることに努めています。
「見えない魔法」- ブルネロ・クチネリのために、ヴィルジリオ・ヴィッロレージ監督により制作されたビデオ
そうしたこだわりを背景に、2013年、ソロメオ村に現代高度芸術工芸学校が設立されました。この学校のモットーになっているのは、由緒ある工芸専門職の素晴らしさを見直し、その価値を次世代に継承することです。この学校では、パターンメーキング・縫製科(レディース)、裁断・縫製科(メンズ)、補修・修理科、食料栽培・庭園管理科、石造芸術といった学科が設けられています。学校を設立するという試みは、イタリアの文化遺産として世界中に認められている職人技術と当社との深い結びつきを証明するものでもあります。
「マジック・オブ・スーツ」- ブルネロ・クチネリのために、ヴィルジリオ・ヴィッロレージ監督が制作
お問い合わせ:
https://www.umbriaschool.it/scuola-di-solomeo/
info@sfcu.it
Tel. 075/582741 (9時~13時、15時~18時)