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ブルネロ
優雅なるビジョナリー
ジュゼッペ・トルナトーレ監督のドキュメンタリー映画を通じて語られる、ブルネロ・クチネリの人生と哲学
ドキュメンタリー映画『ブルネロ、優雅なるビジョナリー』の公式ポスター
「心からの喜びと、ほんの少しの照れくささを添えて、私の人生を描いたドキュメンタリー映画『ブルネロ、優雅なるビジョナリー』の公開が近づいていることをお知らせいたします。思い返せば3年前、この新しいプロジェクトの構想が心に浮かびました。それは穏やかで光に満ちた日で、ソロメオの魅力的な風景を前に、私は「時間」と「知」というものの不思議さに、あらためて心を打たれたのです。日々や年月は、思うよりもずっと広く、深く、無限に広がっていくことができる。そして、本というものの中には、まるで“精神の穀倉”のように、あらゆる真の知が蓄えられているのだと、思い巡らせました。そのとき私は、決意しました。これまでの人生の記憶を、一つの映画という形に託し、私の魂を最も豊かに育んできた「ヒューマニティ」という価値の証とすることを。それはきっと、かけがえのない試みになるであろうと確信しました。このドキュメンタリー映画は、夢の中で生まれ、巨匠ジュゼッペ・トルナトーレの才能によって形となり、ニコラ・ピオヴァーニの美しい音楽に包まれた作品です。この映画だったからこそ、詩のように穏やかな口調で語ることができました。ウンブリアの美しい田園に佇む小さな農家で育った、ひとりの少年の物語。彼は大地と星々からビジョンを授かり、自然界への敬意をもって、人々に喜びをもたらしながら健全な利益を生み出すという仕事のあり方を見出していきます。この映画を、過去、現在、そして未来の若者たちに捧げます。彼らこそがこの世界の「塩」であり、どの時代においても、人類の未来は彼らの手の中にあるのです。」
ドキュメンタリー映画の公式予告編
ジュゼッペ・トルナトーレ監督は、ドキュメンタリー映画『ブルネロ、優雅なるビジョナリー』の中で、ブルネロと“謎の相手”がカードゲームをするという印象的なシーンを描き出しました。それは、クチネリ自身の人生を象徴する寓話として構想されたもので、もう一人のプレイヤーは最後まで姿を現しません。ゲームの進行とともに、ブルネロの人生の軌跡が、再現映像や証言、記録映像を交錯させながら語られていきます。友人たちの回想や本人の言葉を織り交ぜながら、まるで一本の映画のように、その生涯が展開していくのです。トルナトーレ監督は、その人生の節目を示すと同時に、デザイナーであり実業家でもあるブルネロの人物像を浮かび上がらせるため、時代ごとに彼に与えられたニックネームを物語の鍵として配しています。幼少期、鋭い洞察力から祖父フィオリーノに「小狐(volpino)」と呼ばれ、賢明な父ウンベルトからは繊細な体と底抜けの無邪気さゆえに「お坊ちゃま(signorino)」と呼ばれていました。仕事の正確さを称して、取引先や同僚からは冗談交じりに「ドイツ人(tedesco)」というあだ名を贈られ、最後に、ソロメオ城の塔でひとり静かに学び、思索にふける姿を見て、妻フェデリカから「狼(lupo)」という呼び名を授かります。この映画は、実験的な映像作品であると同時に、どこか中世の叙事詩(カンティカ)を思わせる余韻を放っています。ジュゼッペ・トルナトーレ監督は、ニコラ・ピオヴァーニによる魅惑的な旋律をまとわせながら、独自の作風でその物語を紡ぎ上げました。
「人生には、喜びが眩しい光となって胸に溢れ、言葉を忘れるほど輝く瞬間があるものです。幼い頃、私は夜空いっぱいに広がる無数の星たちのきらめきに魅せられ、いつまでも見入っていた記憶があります。星たちはそっとささやきかけ、私はその光に包まれながら、まるで自分もあの星々のそばに浮かんでいるかのような感覚を覚えたものでした。そんな記憶を胸に、自然の息づかいとその高貴な教えに寄り添いながら田舎で育ったあの少年が、今度は大きなスクリーンの中に姿を現している…。昨晩、ローマで行われたドキュメンタリー映画『ブルネロ、優雅なるビジョナリー』の試写会に出席し、ひとつの生涯の夢が現実となる瞬間に立ち会うことができました。言い尽くせない感動に、胸が震えています。私を今日まで導いてくれた数々の出来事を思い返しながら、尊敬するジャーナリストや関係者の方々、世界的な著名人の皆さま、そして家族や古くからの友人たちの温かさに囲まれたことは、これ以上ないほどの光栄でした。ジュゼッペ・トルナトーレ監督とニコラ・ピオヴァーニ氏の、比類なき才能が紡ぎ出す崇高な詩情を、再び私たちに届けてくださったことに、あらためて敬意と感謝を捧げます。この忘れがたいひと時を共にしてくださったすべての皆さまへ、心よりお礼申し上げます。どうか星々が、私たちの歩む道を照らし続けますように」。