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女王と国王、母と息子の普遍的な永遠の愛

英女王エリザベス二世とチャールズ皇太子(現英国王チャールズ三世)、ロンドン、2009年 ©Sang Tan/WPA Pool/Getty Images

2022年9月16日、ソロメオ

まさに人類が大きな変容を遂げようとしている今、世界史に残る重大な出来事が起きました。イギリス女王エリザベス二世の逝去です。それに伴い、私は無量の感慨を込めてこの文章を書かせていただきます。

まず何より、特別な人物であったエリザベス女王に追悼の意を捧げます。彼女は、その人間性において、自国民だけでなく世界中の人から親しまれていました。私の母は、彼女の肖像写真を携えるほどに崇拝していました。それもあり私は、この文章でも触れている女王の息子、現王チャールズ三世との愛に満ちた姿を今でもはっきりと思い浮かべることができます。

女王は優しく、思慮深く、慎重で、厳格な王宮の作法に沿う自然な陽気さを持ち合わせた、本当に愛らしい人でした。たとえ私たち誰もが苦悩や悲しみを抱えていたとしても、彼女はそれを振り払うような喜びに満ちていて、時には品の良い皮肉も踏まえながら最後の最後まで持ち前の明るさを忘れることはありませんでした。

常に他を想いやり、プライベートでは、祖父ジョージ五世が病に伏していた時、ずっと彼のそばに付き添っていました。公の場では、戦争の脅威を避けるためにロンドンから疎開していた、たった14歳の時に、彼女と同様に戦争の危険にさらされている他の子供たちを想い、彼らに向けて心のこもった激励のラジオメッセージを発しました。

私は幼い頃から、この優しい婦人を愛するよう母から教えられてきました。女王として、素朴で賢明な心と考えを保ち、思いやりと倹約を心がけていたエリザベス二世を私はまるで母のように感じていました。私たちは華やかさとはかけ離れた一般庶民でしたが、彼女の厳格で自然な世界観の中に、家族の結束と倫理が人生におけるあらゆる行動の確固たる指針であり必要な規則である、という私たちのビジョンに似た何かを感じていました。これほど多くの人々を支配する一国の女王でさえ、私たちと同じ人間で、ひょっとしたらまるでおとぎ話のように、私たちのウンブリアの村へある日彼女を迎え入れ、正餐を共にすることができるかもしれない、と思うと気分が高まったものでした。母の話を聞いて感化された私の幼き心は、こうした空想に満ちあふれていました。

今日私は、リリベスという素敵な名前で呼ばれることを好んだエリザベス二世が、彼女の死と共に、政治的な重要課題や家族との生活だけでなく、魅惑のお城に住む王様と女王様のおとぎ話をも、ほんの少し持ち去っていったように感じます。彼女の暮らしぶりは、世界中の子供たちの想像力を掻き立てるものでした。だから私は今、もの悲しい気分に浸っています。しかし、このことはむしろ、政治に対し常に慎重で、隣人への人間らしい哀れみを忘れることのなかった、みんなの女王の偉大なる魂への感謝の気持ちを増大させ、確固たるものにしてくれます。

これは、エリザベス二世が世界へ捧げた高貴な精神的遺産でもあります。彼女の子供たちと、プリンス・オブ・ウェールズとして私へ敬意を表してくれたチャールズ三世の手に委ねられた遺産です。私は彼のおかげで、地球の各所で行われている再生農業に参加することができました。これは、彼が様々な分野で人類のために率先して行っている無数の鋭いイニシアチブの一つです。

彼は幼い頃から、自然や生命に対する慈しみにあふれ、現代の緊急課題である大きなテーマに目を向けていたのです。世界中の多くの人々が、彼の重要な行動を支持しています。もちろん私もその一人です。2021年にローマで開催されたG20サミットで、彼は地球温暖化の問題を提唱し、私は人間主義的資本主義と人類の持続可能性について講演を行いました。そのとても友好的な出会いを、私は永遠の感動と名誉の気持ちとともに今も鮮明に覚えています。

皇太子から国王となった今、彼の職務はどんどん増えていくことでしょう。彼を客人として私の愛するソロメオ村へお招きするという夢は、次第に薄れていきますが、決して希望は失いません。というのも、多くのテーマの中でも、街の旧市街、小さな村、風景の存続などの彼が好むテーマは、私の考えに共通するものがあるからです。私はこれまで、それらを具体的に実現しようとしてきました。また、人間主義的な労働条件についても同様です。国王の瞳には、彼の母の志が光っています。まさにこれこそが、夢と理想を代々伝えていく家族の価値なのです。今日、国王チャールズ三世は、政治、経済、社会、地球保護の分野における膨大な任務を背負っています。私は個人的に、そこに他と同じくらい重要なもう一つの任務を加えていただきたいと思っています。それは、彼の母であった、私たちの最愛の女王エリザベス二世の思い出を、名誉ある形で永続させるという心温かな任務です。

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