妻のフェデリカはソロメオ村の出身です。彼女と交際を続けていた1978年に、私は妻の生まれ故郷である素敵なソロメオ村にも惚れてし まいました。当時フェデリカはこの近くでささやかな洋服屋を営んでおり、それがきっかけでニット会社を創ることを思いつきました。

The Origins - Solomeo

ペルージャはニット産業の盛んな地域でしたが、ペルージャだけをとってみても当時1万3千人を超える人々がこの業界に携わっていました から、私も随分勇敢だったものです。

The Origins - Cashmere

すぐに思い浮かんだのは、女性向きの綺麗な色のカシミヤニットをつくることで した。これは当時としては斬新なアイディアでした。

The Origins - Cashmere

ブルネロ・クチネリ、ソロメオ城のオフィスにて、1999年

まったく新しいこの提案を、市場(特にドイツ市場)は好意的に迎えてくれました。私の会社が短期間で成功することができたのは、ほかで もなくそのおかげでした。

1991 Fashion
Socrate

「公正な魂だけが幸せである。」ソクラテス

カシミヤは、ビロードのようにソフトな肌触りだけでなく、長持ちする点も重要な特性であることを確信しました。長持ちするという概念は 私の世界観の一部でした。これには非常に優れた意味があり、その時から、会社の表象的・生産的なあらゆる考え方をこの概念に集中させました。カシミヤの服 は一生ものです。捨てられることなく、代々引き継がれるべきものであり、寿命の長さがカシミヤの価値を象徴しています。

Il cashmere

これに引き続き大きな成功を果たし、私は2012年にミラノ証券取引所に上場する決意を固めました。忘れられない感動いっぱいの成功で した。

あたかもアントワーヌ・サン=テグジュペリのロマンチックな『星の王子様』のごとく、私は提案を発表する際に は、数字や計算ではなく、人間や仕事の尊厳、古くからの伝統や理想について語りました。それが私の正直な思いでした。情熱を語ることで説得を試みたので す。

1992 Il Sole 24 Ore
閉じる
言語の選択